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本の要点と、レビュアーの書評 · BOOK REVIEW
将棋・基本戦法まるわかり事典 居飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)の書影
資格・勉強法

将棋・基本戦法まるわかり事典 居飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)

著者:佐藤 慎一
★★★★☆ 4.3(Amazon 39件)
松本 健吾評 松本 健吾(資格・勉強法担当)

本サイトは「資格・勉強法」ジャンルの本を紹介・書評するメディアです。今回は佐藤 慎一さんの『将棋・基本戦法まるわかり事典 居飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)』をご紹介します。

佐藤慎一氏は本書において、「古典的な棒銀や早繰り銀が対策で難しくなった現代将棋において、どのように戦型を選択し、互角に持ち込めるか」という実用的な課題解決を提示しています。単なる定跡の羅列ではなく、最新の研究動向に基づき「これだけは知っておくべき」核心を抽出することで、読者が迷わず得意戦型を確立できることを目指しているのです。

本書は居飛車党の実践的な指南書として構成されており、一手損角換わりや横歩取りにおける中住まいの最新展開など、プロ棋界で注目されている柔軟な作戦を紹介しています。また矢倉や雁木といった伝統的戦法でも後手の速攻型への対策を網羅し、定跡が確定していない未知の世界での力勝負を楽しむための思考プロセスも解説されています。

この記事ではまず佐藤氏が提唱する「覚える前に理解」の視点から、なぜ従来の攻め方が時代遅れとされつつあるのかその理由を押さえます。さらに具体的な手順例を通じて、▲6八金右型の堅実な対応策や富岡新手の有効性などを実戦でどう活かせるか解説し、読者の棋力向上に直結する知識の整理を行います。

最後に本書がカバーしている主要な戦型別の最新動向を俯瞰し、自分の指す将棋スタイルに合わせてどの章から手をつけるべきかを提案します。検索でこの書名をご覧になった方は特に「今すぐ実戦で使える一手」をお探しの方も多いでしょうから、抽象論に終始せず具体的な局面判断の基準を示しながら進めてまいりますのでお付き合いください。

書名将棋・基本戦法まるわかり事典 居飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)
著者佐藤 慎一
ジャンル資格・勉強法
この記事で紹介する要点9つ

この本で何が学べるか

居飛車戦法の選択と最新定跡への適応

佐藤氏によれば、現代将棋において重要なのは定跡を丸暗記することではなく、「覚える前に理解し」、相手や局面に応じて柔軟に適応する姿勢であると述べています。具体的には横歩取りの中住まい戦法を取り上げ、従来の▲6八玉型(攻め7・受け3)よりも堅牢な▲6九玉型の採用を進めています。これは中原囲いと同様の強度を目指した陣形であり、角や桂を渡しても致命的な弱点が残らないためです。特に後手が△8四飛と仕掛けてきた場合でも、無理に▲3六歩で突っ張るのではなく、▲7七角から安全に駒を組みながら攻める手順を知っておくことで、未知の変化にも慌てず対応できます。読者が明日の対局で活かすためには、「全ての定跡を覚える」ことを諦め、まずはこの「6九玉型」という一つの堅実な選択肢を実戦で試してみる事から始めましょう。

さらに佐藤氏は、未確定領域での創造性を鼓舞し、力勝負を楽しむ学習プロセスを提唱しています。例えば角換わりでは、膨大な定跡全体を追うのではなく、「腰掛け銀」など先手・後手でそれぞれ得意な一つのパターンに絞って習熟する方が実戦効果が高いと指摘します。また相掛かりにおける無謀な▲2四歩早決めは△8七歩からの反撃で後手優勢となるリスクがあるため、注意が必要だと警告しています。このように「結論ありき」の古典的定跡と、「現在研究中」の未確定局面では解説方針を使い分けることで、読者は自身の棋力に合った戦型を確立できます。明日から実践するには、自分の苦手な戦い(例えば持久戦が苦手であれば矢倉)ではなく、自由度が高く初心者でも対応しやすい相掛かりや、攻め重視の早繰り銀など「理解できる範囲」で得意パターンを作り上げることです。定跡本に頼るのではなく、「なぜその手が良いのか」という理由を理解しながら指す習慣を身につけることが上達の近道となります。

矢倉と雁木における攻守逆転の最新動向

佐藤氏によれば、伝統的な矢倉や雁木においても後手の速攻型が台頭し形勢は流動的ですが、「これだけ」知っておくべき核心部分に焦点を当てることで実戦での対応力を高められるとしています。具体的には、棒銀や早繰り銀といった単純な仕掛けでは不利とされる現代の棋界において、「森下システム」や「うそつき矢倉」といった柔軟な構えが定着している点を挙げています。特に後手からの6五歩急襲に対し、先手が雁木銀で受ける展開が優勢とされる最新研究を根拠に、攻守のバランスを取ることが勝敗の鍵であると述べています。読者は明日の実戦において、相手の速攻に対して慌てずにこれらの柔軟な受け方を試みることで、形勢を安定させることができます。

さらに佐藤氏は、定跡確定済みの局面と未研究領域を使い分ける戦略の有効性を強調しています。例えば横歩取りにおける△4五角戦法は先手優勢と見られていますが、近年主流の「8五飛+中住まい」型を採用すれば後手が有力に戦えると解説しています。これは全ての定跡を暗記するのではなく、自身の棋力や好みに合った得意パターン(例:腰掛け銀など)に絞って習熟することで実戦で効果的であるという根拠に基づいています。読者は本書で紹介されている最新序盤術を活用し、未知の世界での力勝負を楽しむ姿勢を持つことで、上達への近道を見つけられるでしょう。

横歩取りと中住まい(中原囲い)の激突

将棋好きの方ならご存知かもしれませんが、かつては後手の△4五角戦法が先手優勢とされる横歩取りですが、近年はその形勢が大きく逆転しました。本書によれば、その鍵となるのが「8五飛」での高飛車構えから完成させる堅牢な陣形である中住まい(中原囲い)です。著者の佐藤氏は、この新戦型により後手が有利に立ち回れるようになったと説明しています。従来の定跡が崩れ去り、未知の世界へと突入したこの局面こそ将棋の醍醐味であり、両者が互いに最新の研究で迫る白熱した駆け引きを楽しむことができます。

さらに先手の対応策についても進化が見られます。佐藤氏は、攻め重視の新手法である▲6九玉型を特におすすめしています。従来の▲6八玉型よりも角や桂を渡しても怖いところがない堅牢さがあり、後手の△8四飛型に対しても十分戦えると述べています。例えば、危険な▲3六歩の突っ張りではなく、安全に駒を組みながら攻める展開を選ぶことで形勢を保てるのです。

では、明日の実践でどう活かすべきかといえば、「すべての定跡を覚える」のではなく「自分の得意パターンを一つ絞る」ことです。佐藤氏は特に中級者以上向けとして、角換わりや横歩取りにおいて特定の戦型(例:腰掛け銀など)に特化して習熟することを推奨しています。最新研究は流動的ですが、基本となる攻め・受のバランスを理解し、自分なりの決まり手を持つことで、盤上の不安を軽減できます。「覚える前に理解」し、自分の指しやすい形を見つけることから始めましょう。

青野流と空中戦:未知の世界での力勝負

本書によれば、定跡が確定していない最新戦型における「青野流」と呼ばれる複雑な展開は、完全な正解のない未知の世界での力勝負を楽しむための重要な場であると述べています。具体的には、先手が▲6五桂や▲5五角といった激しい手を放ち、「空中戦」へと持ち込む局面が挙げられます。著者の佐藤氏は、こうした難解な局面こそが現代将棋の魅力であり、互角の攻防を繰り広げることで読者がその可能性を感じ取れると解説しています。これは単なる知識の羅列ではなく、確定した結論が存在しない状況下で自らの判断力を試すプロセスとして位置づけられており、将棋の可能性を広げる視点を提供してくれます。

この主張に基づき、実戦では定跡を暗記することに固執せず、未知の変化における自分の指し手を信じる姿勢が求められます。例えば、後手が△2四飛などで反撃してきた際にも慌てず、互角の「空中戦」として捉えることで心理的な優位を保つことが可能です。著者は、結論未確定の研究段階にある局面については独自の見解に基づき解説しており、これを読み解くことで読者自身が新たな戦略を構築する手掛かりを得られます。明日から対局する際にも、定跡通りでない手を指すことに恐れを抱かず、「今この瞬間の判断」を楽しむ意識を持つことが上達への近道となるでしょう。

棒銀と早繰り銀は時代遅れ?一手損角換わりへの転向が現代将棋の正解

佐藤氏は、かつて居飛車の主力戦法とされた「棒銀」や「早繰り銀」が現代将棋では時代遅れになりつつあるという厳しい現実を指摘しています。具体的には▲3七銀から始まる早繰り銀について、後手の受け方の研究が進んだ結果、先手が攻め切るまでに十分な時間的余裕を持たされず、「生駒」(指し手)としても優勢になりにくいのが現在の定跡評価であると解説します。これは単なる流行の変化ではなく、プロ棋界での実戦データに基づいた根拠ある結論です。読者の中には「昔から使っていたので慣れている」という理由でこれらの戦法をまだ愛用している方もいらっしゃるかもしれません。しかし著者は、相手も対策を知っている現代の実戦では、覚えたての初心者相手でも不利になり得ると警告しています。したがって、明日からの対局ではまず自身の得意手リストを見直し、「棒銀」「早繰り銀」の使用頻度を減らすこと自体を最初のステップとして提案します。

その代替策として佐藤氏が推奨するのが「一手損角換わり」や「腰掛け銀」といった柔軟な戦型への転向です。特に角交換では、膨大な定跡のすべてを暗記するのではなく、「先手は腰掛」、あるいは「後手も特定の形勢に絞る」というように、自分が最も理解している一つのパターンだけを極める戦略が有効だと述べています。例えば▲6九玉型のような堅牢な陣形を採用すれば、角や桂馬を一時的に取られたとしても怖い展開にならず、持久戦志向で相手のミス待ちができるのです。これにより、「定跡を間違えた」という不安から解放され、中盤の力勝負という未知の世界での判断力を養うことができます。読者が次に抱く疑問は「どれを選べばよいか」ですが、著者は自身の棋力や性格(攻めたいか守りたいか)に合わせて選択することを助言しています。まずは今週末の実戦で、「覚えた定跡をなぞる」のではなく、「相手の布陣を見て腰掛銀を組み立てる」というプロセスを実践してみてください。

角換わり腰掛け銀と富岡新手の実戦的価値

角換わり戦における腰掛け銀は、後手の早繰り銀に対して迷わず採用すべき確実な対応策です。本書によれば、端歩交換後に駒組みをスムーズに進めることで先手は攻めやすい形勢を作り出せると佐藤氏は述べています。特に同型局面で後手が△4四銀といった専守防衛を選んだ場合、「▲2二歩」という富岡新手が決定打となります。この一手により、従来の堅い受けを破る明確な打開策が存在することが実証され、先手勝ちの定跡として確定しています。「覚える前に理解」のためには、単に手順を追うだけでなく、なぜここで腰掛け銀が有効で、なぜ2二歩が効くのかという構造的根拠を押さえることが重要です。

将棋の上達において重要なのは、膨大な全定跡を暗記することではなく、「これだけは知っておくべき」核心部分の習熟です。佐藤氏は角換わりでは全ての變化を追うよりも、先手・後手でそれぞれ得意な一つのパターンに絞って深掘りすることを推奨しています。例えば腰掛け銀であれば、その持久戦志向や端の位を重視する作戦の特徴を理解し、実戦で即座に応用できる状態を目指します。「一手損」や「堅守」と思われた局面にも決定的な打開策があることは将棋の深さを示しており、定跡書だけでなく実戦での検証過程そのものが学びとなります。読者は明日の実戦から、角換わりになった際に迷わず腰掛け銀を選択し、後手の受け方に応じて富岡新手などの有力手を検討する習慣をつけることで、確かな勝率向上につなげることができるでしょう。

▲6八金右型で継ぎ歩攻めを封じ、堅実な優勢へ

鈴木氏によれば、先手が▲6八金右型を採用した際、後手から△8六歩・〇8五歩と継ぎ歩攻めを仕掛けられても慌てる必要はないという具体的な手順が提示されています。具体的には、まず▲4五桂で一旦手を抜き、その後▲5五角や▲6六角といった角の利きを効かせる展開へ移行することで、形勢を先手優勢に持ち込める根拠を示しています。さらに後手が△3七角と強く来ても、▲8三歩からの連打によって飛車先を封じ込め、結果として堅実な対応で指せると解説されています。これは単なる定跡の暗記ではなく、「玉が堅く桂馬と連動して王手飛車のインを狙える」という構造的優位性を理解した上での手順であり、読者は「継ぎ歩攻め=危険」という先入観を捨て、この具体的な応答パターンを実戦で再現することで不安を取り除けます。

鈴木氏は最新の研究により、かつて難しかったとされるこの継ぎ歩攻めへの対応が明確化されたことで、▲6八金右型の再評価が進んでいると述べています。根拠としては、玉の安全性を損なわずに反撃力を両立できる点に加え、後手の△4五角や早繰り銀など他の攻撃パターンに対しても「これだけは知っておくべき」核心部分だけを絞り込み解説している本書の方針に沿って、初学者でも迷いなく指せる実用性が高い点が挙げられます。読者は明日の実戦でこの型に出会った際、「まず▲4五桂」という最初の一手を思い出すだけで対応できますし、角の使い方や飛車先の処理という具体的な手順を追うことで、抽象的な「堅実さ」ではなく数字や手筋に基づく確かな優勢へ導く指し方が身につき、上級者への階段を一歩踏み出せるでしょう。

右玉とうそつき矢倉への耐性、後手速攻を雁木銀で封じる

佐藤氏によると、「うそつき矢倉」や「右玉」といった変則戦法に対し、複雑な定跡を暗記するのではなく大原則を押さえることが実力向上への近道です。「うそつき矢倉」は振り飛車を装って横歩取り回避を狙いますが、3筋と4筋の歩道を盛るという具体的な手順で互角に持ち込めます。一方、「右玉」には完全攻略法が存在しないため、穴熊に対しても千日手を歓迎する粘り強さを見せることが有効です。定跡書の変化図に迷う必要はなく「変則は粘る」「右玉は攻め込まない」という心理的負担を減らす意識転換が、実戦での冷静な判断を支える根拠となります。

さらに後手からの速攻対策として、6五歩や左美濃新型急戦に対して先手が▲6七銀(雁木銀)と構える手法を紹介しています。この一手により△5四歩などの無理な突込みを防ぎつつ、反撃の余地を残すことが可能になります。佐藤氏は「これだけは知っておくべき」核心部分に焦点を当てており、最新研究で結論未定の場合でも独自の見解に基づき解説している点も特徴的です。読者は明日から対局前にこれらの大原則を確認し、「覚える前に理解する」姿勢を実践することで、未知の局面でも慌てることなく応手を見つけられるでしょう。

攻め合い重視の新潮流:左美濃急戦と△4二玉型

鈴木氏による解説では、現代将棋において後手番でも受ける姿勢から攻める姿勢へ転換する「左美濃急戦」や「△4二玉型」が注目されていると述べられています。具体的には矢倉戦で2筋の歩を交換し、飛車・銀・桂馬を活用して十字飛車を狙う展開や、角換わり腰掛け銀において従来の5二金配置から一手分攻撃力に充てられる△4二玉型への変更が紹介されています。これらの指し手は単なる定跡変更ではなく、「後手が主導権を握る」という明確な目的を持って設計されたものであり、鈴木氏はこうした攻め合い重視の新潮流こそが実戦で勝率を上げる鍵だと指摘しています。

なぜこのような変化が進んだのかというと、現代のコンピュータ将棋やプロ棋界の研究により、堅守のみでは後手番の難しさが覆る可能性が高まったからです。本書によれば、昔ながらの「受け将棋」ではなく、序盤から攻め合いを選ぶことで形勢をひっくり返すチャンスが増えるという根拠があります。読者の皆様にとって重要なのは、「后手は不利」と諦めるのではなく、これらの新しい戦型の中から自身の指し手に合う一つを選択肢に加えることです。例えば角換わりで△4二玉を試してみるなど、具体的な手順を実際に盤上で確認し、攻め方の感覚を養うことで、後手番でも自信を持って対局に臨むことができるようになります。

こんな人に向いている本

本書は、棒銀や早繰り銀が対策で難しくなった現代において、「一手損角換わり」や横歩取りの「中住まい」といった最新研究を読み解くことで、棋力に応じた得意戦型を確立する手助けをします。例えば後手の△4五角に対し▲6九玉型を採用するなど具体策を示し、定跡が未確定な局面での力勝負を楽しむ学習プロセスを提供。初心者から中級者まで、最新のトレンドに対応した柔軟な指し手を習得したい方に適しています。

逆に、古典的な棒銀や早繰り銀の基礎理論を深く学びたい方、あるいは「これからの1手」のような即戦力の定跡集のみを求める方には合わない可能性があります。本書は単なる手の羅列ではなく、「なぜその手が現代で優勢なのか」という背景と戦略的転換(例:堅守から攻め合い重視へ)を理解することに重きを置くため、伝統的な形作りのみを追う読者には物足りなさを感じるかもしれません。

明日からできる実践ポイント

佐藤氏によれば上達の近道は四大戦型の特徴を把握し、自身の棋力に合った得意パターンを一つ確立することです。具体的には角換わりなど複雑な定跡群から「腰掛け銀」のような特定の展開を選び出し、先手・後手の両方でその手順だけを徹底練習します。これは全て覚える負担を取り除き、実戦で迷わず指せる自信をつけるためです。読者は明日から棋譜を紐解く際、広範な知識よりも自分の選んだ一つの型に集中し、その正解手順を暗記するところから始めてください。

さらに佐藤氏は序盤の最新動向として▲6九玉型の採用を推奨しています。従来の中住まいで使われる▲6八玉は攻撃重視ですが受けが甘く、後手の△8四飛型などの反撃に晒されがちです。これに対し▲6七角から安全に駒を組みながら攻める▲6九玉型は堅牢であり、大駒を渡しても怖いところがありません。読者は次の対局で中住まいを選ぶ際、無意識の習慣である六八玉ではなく、あえて六角九玉を試してみてください。これで後手の急襲に対する不安が軽減され、持久戦に持ち込むことができます。

最後に佐藤氏は相掛かりにおける早決めのリスクを指摘し、慎重な手順を示唆しています。初心者が陥りやすい▲2四歩の突き出しは△8七歩からの激しい反撃を受け優勢となり得るため避けるべきです。読者は明日から対局時、序盤で即座に戦いを交えるのではなく、まず駒組みを丁寧に行うことを心がけてください。特に後手の仕掛けに対して慌てずに対応し、未知の局面では力勝負を楽しむ姿勢を持つことで、不必要な損点を防ぎ実力を安定させることができます。

レビュアー(松本 健吾)の総評

佐藤慎一氏は本書において、将棋の学習は暗記ではなく「理解」から始まると説き、膨大な戦法の中から現代の実況に即した核心を抽出しています。例えば、かつて主流だった棒銀や早繰り銀が後手の対策で不利になった背景には、「継ぎ歩攻め」といった具体的手順が存在します。著者はこの限界を示しつつ、代わりに「一手損角換わり」や「腰掛け銀」への転向を提唱し、なぜそれらが現代において堅実な優勢へ導くのかの論理構造を段階的に解説しています。これにより読者は、単に指し手を覚えるのではなく、相手の布陣に合わせて攻め方を変える戦略的アプローチの基礎を築けます。

矢倉や雁木といった伝統戦法における最新動向についても、著者は最新の研究結果に基づき具体的な対策を示唆しています。「うそつき矢倉」では3・4筋の盛り上がりで互角に戦える点、後手の6五歩速攻には「雁木銀(▲6七銀)」を構えて△5四歩などの無理な攻めを封じ反撃する手順などが挙げられます。また横歩取りにおいては、従来の先手優勢だった局面が後手の「中住まい」登場で逆転した経緯や、それに対し先手が▲6八玉型などで対応している現状を詳述しています。これらの解説は、定跡が変わった理由まで踏み込んでいるため、「なぜこの指し手をすべきか」という読者の疑問に自然と答えとなり、実戦での判断力を養うのに役立ちます。

本書の最大の価値は、未確定局面における「力勝負」を楽しむ姿勢を育む点にあります。「青野流」のような複雑な展開や左美濃新型急戦など、両者が互角で激しくぶつかる局面が現代将棋の魅力だと著者は述べています。定跡集としてだけでなく、「どう指せば互角か」という形勢判断のロジックを身につけるためのガイドブックとしても機能します。まずは基本となる「一手損角換わり」や「雁木銀」の応用範囲を広げ、そこから未知の世界へ足を踏み入れるという読み順で進めれば、棋力向上に直結する実戦的な知識が得られるでしょう。佐藤氏の体系的な解説に従い、攻守のバランス感覚を磨くことで、読者自身も将棋の奥深さをより深く享受できるはずです。

本書の読み方ガイド

本書によれば、時間的制約のある読者にはまず「まえがき」から入り、「第4章 矢倉」と「第5章 その他の戦型」を優先的に通読することを推奨します。著者はこれらの基礎的な構えを理解することなく最新の指し手を暗記しても定着しないとし、まずは王道の形勢判断基準を身につけることで、その後の学習効率が数倍に上がると述べています。具体的には矢倉における金銀の配置や香車の運用手順を確認した上で実践へ移すのが確実です。

次に元を取りたい方には、「第6章 最新の戦型」および「2、3筋で戦いを起こすのが狙いで、中住」などのシリーズを重点的に精読するよう案内します。これらの章では近年のプロ棋士間で流行した具体的な手順や反則の手が図解付きで紹介されており、将棋ウォーズなどで即戦力となる知識が含まれています。例えば「第6章の最新形で紹介する。」各パートには、相手の予想外の一手に対する対策手順が詳細に記されています。

最後に、「5、6年ほど前に将棋会館で女性限定の『将棋日和』というイベント」に関するエピソード部分は、読み飛ばしても戦術的な理解には支障ありません。本書は基礎から最新まで網羅しており、初学者は第4・5章を丸暗記せずイメージ把握に留め、上級者は第6章の手順を実際に盤上で再現する練習を重ねることで、著者が意図した「まるわかり」の境地へ到達できるでしょう。

気になった方は、ぜひ本書を手に取って読んでみてください。

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